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ドイツの色々な都市を歩いていると、路上に本棚がぽつんと立っている状況を見かけることがあるかと思います。
この本棚は【Öffentlicher Bücherschrank】と言い、ドイツ国内に1000個以上あります。
今回は、そんなドイツの町中にある本棚【Öffentlicher Bücherschrank】についてのトリビアをご紹介させていただきます。
【Öffentlicher Bücherschrank】とは?

【Öffentlicher Bücherschrank】は、手続きなしで匿名・無料で本を寄付できる、また、持ち帰れる本棚であり、「24時間365日営業しているすべての市民のための図書館」です。
簡単に言うと、誰でも本を簡単に寄付できて、又、誰でも欲しい本をその中から持って行っていいよって、システムですね。
【Öffentlicher Bücherschrank】に置かれる本のジャンルは問われていないので、基本的には色々な種類の本があります。
お国柄的に聖書を含めた宗教の本などは、どの本棚にもぼちぼちな数置かれていました。
ドイツ語の本だけでなく、日本語やスペイン語の本もありました。笑
【Öffentlicher Bücherschrank】の歴史

このアイデアは、元々、本の交換をサポートすることを目的とした「24時間営業していて、誰でも行くことができる」という形の本棚を定着させるために、1990年代に*「Bookcrossing」から発展させられた考え方です。
*町中のベンチとかに本を置いて、それを誰かが読んで、別のところに置く、そしてまた別の誰かが読む、、、を繰り返して、本が色々な人の手を渡っていく、という試みが「Bookcrossing」です。
芸術運動家のClegg & Guttmannの二人組を発起人として、1991年からグラーツ(Graz)やマインツ(Mainz)で起こった芸術運動を通じて、1990年代の終わりに、「kostenlose Freiluft-Bibliothek」(無料の自由な空気感の図書館)という名称で【Öffentlicher Bücherschrank】第一号が、ダルムシュタット(Darmstadt)とハノーファー(Hannover)に設置されました。
そこから現在に至るまで、ドイツ国内のみならず、オーストリア・スイスの多くの都市に、【Öffentlicher Bücherschrank】が設置されてきました。
ちなみに、2019年7月現在ドイツ国内には1,865か所に【Öffentlicher Bücherschrank】が設置されています。
Baden-Württemberg(バーデン・ヴュルテンベルク) | 497 個 |
Bayern(バイエルン) | 121個 |
Berlin(ベルリン) | 60個 |
Brandenburg(ブランデンブルク) | 60個 |
Ferien Hansestadt Bremen(自由ハンザ都市ブレーメン) | 20個 |
Hamburg(ハンブルク) | 159個 |
Hessen(ヘッセン) | 157個 |
Mecklenburg-Vorpommern(メクレンブルク・フォーアポンメルン) | 20個 |
Niedersachsen(ニーダーザクセン) | 237個 |
Nordrhein-Westfalen(ノルトライン・ヴェストファーレン) | 293個 |
Rheinland-Pfalz(ラインラント・プファルツ) | 75個 |
Saarland(ザールラント) | 21個 |
Sachsen(ザクセン) | 49個 |
Sachsen-Anhalt(ザクセン・アンハルト) | 29個 |
Schleswig-Holstein(シュレースヴィヒ・ホルシュタイン) | 50個 |
Thüringen(チューリンゲン) | 17個 |
合計 | 1,865個 |
【Öffentlicher Bücherschrank】小話

フランクフルトの【Öffentlicher Bücherschrank】には、以下のようなことが書いてありました。
好奇心・知識欲に掻き立てられて目に入った本があるなら、持ち帰り、家、カフェ、銀行の待ち時間に読みふけち、それぞれの知識のために活かす。そして読み終わった本は、元の本棚に戻すか、別の本棚に立てることで、またその本が誰かの知識欲を満たします。
色々なものを大切にする国ドイツ。
本は一度使っただけで価値を失うものではないので、捨てることなく、誰かにわたることで、その本はその人の知識として活かされる。
また、間にお金を間に挟まないことで、純粋な「気持ち」が新しい本を本棚に連れてきて、その本に出合いたがっている人を本棚に連れてこさせて出会わせる。
人と人とを本がつなげる。
素敵なサイクルだと思います。
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今日もありがとうございます!
また明日の記事でお会いしましょう!
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